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Satoshi Saito   Back to artistdata

斎藤智史

「めぐるる」

2009年の個展より

齊藤智史は、大学卒業後故郷である長野県佐久市に戻り、高校の美術教師の傍ら作品を制作し ている彫刻作家である。
2006年より制作を続けているシリーズ作品「うえきのつぶやき」は、出荷されるために根元を麻布でくるまれた植木の姿を木彫により表現したものである。
齊藤の父親が造園業を営んでいることから、幼少より出荷される植木を見つめてきた彼は、植木のひとつひとつに魂を感じ、“管理される存在から自由になりた い”というつぶやきが聞こえてきたのだという。材料となる木はくすのき、ひのき、けやきなど多種にわたり、鑿の跡を残した力強さと相反する愛らしい小動物 を思わせるようなフォルムが特徴的である。
「記憶と心身に残る感覚を頼りに、ただひたすら魂からの自由を目指し、祈るように彫る。」
作品は現在100体にも及ぶが、毎日必ず何時間かは制作するという姿勢は、まるで仏像を彫る修行であるかのようだ。
初の個展となる今回は、展覧会のタイトルを『めぐるる』とした。
本展では、前述した「うえきのつぶやき」シリーズ作品と共に、「帰る日」というタイトルの 牛と馬を表現した作品も展示する予定である。これは、お盆に故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として用意される、精霊馬と呼ばれるきゅ うりやナスで作る動物をモチーフとして作られた木彫作品である。古くから人々の思いを伝えてきた風習を、現代的に表現した作品だと言えよう。
これら齊藤の 作品は、様々な自然物が年月とともに朽ちて、新たに違う何かに再生するという自然のサイクルや、先祖から代々今に引き継がれる人々の気持ちといった、あら ゆるものの連鎖を表現している。その世界観は現代に生きる我々のDNAを覚醒させ、懐かしい世界へと誘ってくれるのである。


「プロフィール」

1982 長野県に生まれる
2002 東京造形大学入学
   長野県展入選(以後現在まで毎年出展)
2003 長野県展信州美術会賞受賞
2004 神奈川県展特選
2005 長野県展教育委員会賞受賞
2006 東京造形大学卒業
   佐久平の美術展教育長賞(長野県)
   佐久美術展佐久美術展賞(長野県)
   二人展「しぜんたいvol.1」 (銀座・画廊るたん)
2007 中之条ビエンナーレ参加(群馬県)
2008 小布施・境内アート参加(長野県)
   二人展「しぜんたいvol.2」(軽井沢・KIGIギャラリー)
2009 佐久平の美術展奨励賞(長野県)
   個展「めぐるる」(銀座・ギャラリー舫)